長い夜


夏がすぎ風あざみ…と陽水が歌っているが風あざみという花は無い、少年時代を思い出す風景のひとつとして風に揺れているあざみの花を思っているのだろうなどとぼんやりとした頭で考えている。
夏が去って釣瓶落としの日が沈み17時を過ぎるともう暗くなり長い夜の始まりです。一人の夜はとにかく長い、1時間半置きにヘルパーさんは来てくれるが体勢がうまく収まってくれないとその1時間半が長い、足がしびれたり、肩や尻が痛くなってもじっとして約束の時間が来るのを待っています。日付けが変わり1時にはベッドに横にしてもらうのですがここでも体勢の調整が微妙で迷惑をかけています誰もいない夜は手元に携帯や緊急通報用のボタンを持っていますが体勢によっては使えない時もあり、使おうとしてダメだった時のパニクり度は超半端無くて心臓は口から飛び出さんばかりになって汗は流れ続け頭がクラクラしておさまりません。ヘルパーさんは殆んど時間通りに来てくれますがなにしろ深夜の事なのでついつい睡魔に勝てず少しだけ誘いに負けてしまう事もあるみたいです。前のケアが長引いたり交通事情で遅れてしまう時にはワンコールを入れてくれるようにお願いしていますが負けてしまっている時にはこちらから電話をしなければなりません。ヘルパーさんは深夜とはいえ幾つかの訪問があるので時間が過ぎると飛ばされてしまうのではという不安が湧いてくるのです。なにより問題は何度かそうした事が何度かあるとトラウマになって何時も誰の時でも不安が先だって眠れない夜がつづきます。
今夜もそんな不安な夜の途中、夜明け前、新聞配達のドアに差し込む音がして一日が始まりだした。静けさが不安を大きくするので気を紛らわすためのラジオから欽ドンの良い子のDJで懐かしい歌が流れてくる。その頃が思われ気持ちが落ち着いていく…もうすぐ夜が明けるもうすぐ日が差してくる。長い夜の終りだ。
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